的確な意思決定をするための情報力

経営者の一番の仕事は、意思決定をすることだ。

トップの意思決定が間違えば、経営危機に陥ることもあるし、逆に、迅速・的確な意思決定によりチャンスを捉え大きく成長できることもある。

迅速・的確な判断ができる優れた経営者には共通点がある。

それは、より有効な情報を、より早くキャッチし、先手で手を打てるということだ。

 

経営者の情報に対する3つの力

優秀な経営者は、情報に対する3つの優れた力を持っている。

1.質の良い情報を迅速に入手できる関係を作っている

一つ目は、日頃から質の良い情報を迅速に入手できる関係を作っているということ。

そんな情報をどこから入手できたのだろうと思わせる経営者は、質の良い情報を迅速に入手できる情報源を持っている。すなわち、的確な情報を入手できる関係を、日頃から構築しているということであり、そのためのアンテナを張り巡らせている。

このような経営者は、総じて人間関係を築くのがうまい人が多い。

懇意な人間関係ができているからこそ、迅速、的確な情報を入手することができるのだ。

これができるのは、多くの人を惹きつけ、好感や信頼を集めるのが上手な人だ。

それは、この人と話しをしていると面白い、有益だと感じさせる力があるということであり、このような人のまわりには自ずと人が集まる。

経営者に求められる要件の一つに「徳がある」と言われるが、それは皆がこの人のためなら協力しようと思えるということであり、徳のある人には情報が集まるとも言えるのだ。

ところで、情報はネットで検索すれば収集できると考えている人がいるが、このような人はそれでは遅いということがわかっていない人だ。ネットに情報が流れた時点ではすでに誰もが知っているということであり、そこから検討していたのでは手遅れだからだ。

ネットに出る前に先手で手を打つことが重要であり、そのためには、的確な情報を提供してもらえる人とどれだけ関係を築いているかが重要なのだ。

2.情報に対する感度

2つ目は、情報に対する感度の良さだ。

同じ情報に接してもそれを有効な情報と感じとる力が優れていることだ。

例えば、同じ海外出張をしても、優れた経営者は、変化を読み取り、自社の事業展開にどう影響するか、どう活用できるかを感じとる力がものすごい。

ビジネスチャンスがあると感じたり、逆に早期に撤退した方が良いと感じたり、得られる情報からどうビジネスに影響するかを感じとることに優れている。

情報に対する感度の良さは、広い分野に興味を持って情報を入手すると共に、日頃から色々と仮設を立ててどう事業につなげられるかを考えている人だ。それが当たり前になっているので情報を感じとる力が優れているのだ。

このような経営者は、感じたことをすぐに部下に伝えて帰国するまでに検討させている。

3.情報を迅速に活かす力

3つ目は、それを活かす力(具体的に早期に活用展開する力)だ。

言い換えると事業展開力があるということ。

日頃から色々と仮設を立てて考えていると、どうすると事業につながるか、事業に活かせるか容易に閃くことができる。

もちろん、そのままではうまくいかないことが多いので、他の視点も入れて検討することが重要であり、それを指示できることが大切だ。

共通して言えることは、このような経営者には、トップの発想を受け止めるキャッチャー役を育成できていることが多い。

気付いたら、すぐにキャッチャー役に検討を指示している。

このようなキャッチャー役がいると具現化に向けて早く動くことができ、他社に先駆けた事業展開に結び付きやすい。

重要なことは、このようなキャッチャー役を育成することも経営者の役割ということだ。

日頃から、経営課題や気付きを共有し、一緒に検討することで、共通した課題認識ができていると、言われたことが何を意図しているのかすぐにわかり、すぐに具体的な検討に入ることもできる。このような人材が何人か育成できていると迅速な事業展開を図ることができる。

 

迅速、的確な意思決定ができるか否かでその企業の盛衰が決まる。

それだけに、日頃から意識して質の良い情報に接するように心がけ、適切な経営課題認識と、戦略的な視点でどうすべきかを考えることが大切ということだ。

 

情報入手のうまい経営者の共通点

ところで、情報入手がうまい経営者には共通点がある。

1.気楽に人に会うことができる

一つ目は、躊躇することなく気楽に人に会うことができるということだ。

人に会うことを面倒くさそうにする経営者がいるが、これは自分の殻に閉じこもって人脈が広げられる機会を自ら無くしている人で、井の中の蛙になっている経営者だ。

また、本人がそうでなくても、秘書が「スケジュールが立て込んでいる」という理由で面談を拒否しているケースもある。

そうならないためには、より多くの人と面談の機会を作れるように時間を作ることが重要だ。

実際、サプライヤーはじめ色々な売り込みがあると、面談もせずに断るという企業がある。理由はマチマチだが、すでに決まった購入先があるのでとか、そのようなものは必要ないからといった理由で断るケースが多い。調達などの部門が窓口になっていると魅力ある価格提示が無ければ会うのは無意味という判断になることもある。価格にしか興味がないからだ。

しかし、経営者として会うか会わないかは、新たな情報が得られる相手かどうかということが大きな判断基準の一つになる。実際、一度面談を断れば、売り込みにきた企業からは、今後協力を得ることはできなくなるし、情報ももらえないことになる。取引はできていなくても、懇意な関係が築ければ、競争相手の情報や自社が展開していない市場の情報、また、新たな業界の動きを教えてくれたり、今後の事業推進のヒントをもらえたりすることはできる。

特に優秀な営業マンになるほど、顧客の課題を想定し、顧客の立場に立った提案営業をしてくる。そういう営業マンは、事前に関係業界についてかなりの調査・研究をしており、その業界に精通していることが多い。また、このような営業マンは、多くの企業への売り込みに成功していることから持っている情報も多い。このような営業マンとは、そこから購入するかどうかは別として、貴重な情報入手先として、懇意な関係を築いておくべきだ。

2.質問上手

2つ目は、質問上手ということ。

優れた質問力が他の人では入手できない情報入手につながることが多い。

日頃から問題意識を持っている経営者は、折角の情報を得る機会ということで、鋭い質問をすることが多い。質問することで、具体的なヒントがもらえたり、自分の考え方の成否を確認したりできるからだ。

もちろんこのような質問ができるということは、適切な課題認識ができているということであり、その課題解決に向けて聞きたいことが多いからだ。

質問が多いほど得られる情報量は多くなるだけに、質問力というのは重要だ。

付き合うに足る相手かどうかを判断する材料にもなる。

質問に対して、いい加減で曖昧な回答しかできない相手に時間をとるのは時間のムダだ。適当にお茶を濁したような回答で終わらせようというような人と付き合っても何も有益な情報は得られないからだ。

付き合う価値があるか否かを判断するためにも、色々と質問をしてみることが大切ということだ。

また、相手が年下でも、学ぶ姿勢で聞くことが大切。

「教えてくれる?」と言われて、嫌な顔をする人はないし、質問してくれることに対し、一生懸命回答しようとする相手か否かが大切だ。

その場で質問への回答ができなくても、次に調べて持ってきてくれる人は、付き合う価値がある。

 

情報入手のための仕掛け・姿勢

積極的に新たな情報を入手するためには、入手するための仕掛けや姿勢が大切だ。

自社は何をやっているのか、何に興味があるのかを知らせなければ、適切な情報を持ってきてはくれない。

情報発信力が情報収集力の向上につながる

言い換えると、情報発信力が情報収集力の向上につながるということだ。

例えば、日頃の来客に対応する応接室に自社の製品や技術サンプルを置いておけば、自社を知ってもらう機会につなげることができる。

展示会への出展も、興味を持ってくれる人に売り込むだけでなく、そこから新たなニーズや情報を把握する場と位置付けて情報を入手することが大切だ。

ファンを増やす

また、より有益な情報を得るためには、自分や自社へのファンを増やすことだ。

「いい情報が入った。教えてあげよう」という関係作りだ。

そのためには、相手にも、その会社を訪問すると色々と教えてもらえる、新たな事業機会が創出できる可能性があるといったメリットを感じられるようにすることも大切だ。

もらうだけではなく、積極的な情報発信をすることが、さらに有効な情報の入手につながるということだ。

もっとも、機密情報は何かを明確にしておくことが前提だが。

情報力の差が経営の盛衰を決める。積極的に情報入手ができる体制作りも大切な取り組みと言える。