改善・改革の着眼点・・掲示物は適切か
今回の改善・改革の着眼点は、真に有効な掲示物になっているかだ。
掲示物の目的
掲示板や管理ボード(デジタル掲示板やデジタル管理ボードを含む)などに掲示する目的は、全員に、方針や仕事の進め方をはじめとした共有すべき事項や、管理すべきことを徹底するためだ。
そのためには、外国人がいる職場であれば、日本語以外の言語対応した掲示にするなど工夫も必要だ。
情報共有を目的とした掲示板であれば、人事異動情報や行事案内、工事や保守点検情報はじめとした情報が掲示される例が多いが、全員に徹底すべきことであれば、掲示するだけでなく、朝会時に連絡するなり、唱和するなどして徹底する取り組みが行われることが多い。
無意味な管理ボードになっていないか
また、その職場で管理すべきことであれば、管理ボードとして、日々、状況が書き込まれ、進捗状況や異常がすぐにわかるように記載され、それに対する対応も記載されるはずだ。
ところが、管理すべき事項を掲示している管理ボードの場合、実績が記載されておらず、そのまま放置されているケースが意外に多い。
このような管理ボードは、誰も関心も持っていないし、放置していても問題にならないボードなので掲示する意味がない。
しかし、これらの中には、法令で義務付けられている管理事項だったり、QC工程図で品質を確保するために必要な管理事項になっているにもかかわらず、管理されていないということもある。
これでは、安全や品質の確保はできない。
真に必要な掲示だけにする
このようなことにしないためには、真に管理が必要な事項なのか、真に徹底する必要がある事項なのか見直すことが、改善・改革の第一歩だ。
ある方がよいというようなレベルなら、廃止することだ。
大切なことは、何でも沢山掲示すれば良いというのは大きな間違い。多ければ多いほど単なるポスターになり、誰も見なくなるからだ。
また、工場では取り扱う危険物などは周知させる必要があり、掲示が義務付けられているものもある。何を徹底する必要があるのかを整理し、徹底する必要がある事項については、どうすると徹底できるかを検討することが大切だ。色を変えたり、ブザーで知らせたりといった工夫も大切だ。
「見える化」と「見せる化」
「見える化」と「見せる化」というコラムにもあるように、管理ができている企業は「見える化」ができており、さらに強制的に「見せる化」もできている。
トヨタのアンドンなどは、その代表例だ。異常が発生したら、即時に関係者が知ることができるようになっている。
DX化の加速で、掲示板や管理ボードのデジタル化が加速しているが、特に管理すべき事項については、IoTにより自動でデータが取り込みができ、異常の検知ができる事項もある。それを「見える化」「見せる化」することが大切だ。
間違っても、「安全第一」、「品質第一」と第一が2つもあるというような矛盾した掲示を放置しないことだ。どちらが第一なのかわからない掲示がされていても誰もおかしいと言わないのは、誰もこの掲示物を意識していないということに他ならない。
このような掲示がされている企業は、徹底すべきことが徹底できない企業ということを示していることになるからだ。
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