改善・改革の着眼点・・棚を減らせ
経営を担う幹部は、改善・改革の着眼点をどれだけ持っているかが重要なのだが、その一つが「棚」だ。
意識されていない「棚」
今、自社にいくつ棚があるかすぐに答えられるだろうか?
実際、すぐ答えられる人はほとんどいない。
このように意識されていないことが多いのが「棚」だ。
棚の役割は? ・・・「お金を寝かす道具」
そもそも棚の役割は何であろうか。
それは、より多くの物を置くためだ。
平面に置いたのでは置くことができる量は限られるが、棚であれば多くの物が置けるからだ。
すなわち、「棚」が沢山ある企業は、多くの物を持っていることに他ならない。
物はお金を出して買ったものなので、棚に物が置かれているということは、そこに多額のお金が置かれていることと同じだ。
ところが、物が棚に置かれると、そのまましばらく置かれたままになる。保管するために棚を設置しているのだから当然のことだ。
言い換えれば、棚は「お金を寝かす道具」に他ならないということだ。
棚が多いほど多くのコストが発生する
物として置かれているということは、そこに余分な資本コストが発生していることを意味する。
多くの企業は借入金があるが、借入金で購入した物には、金利が発生している。また、借入金以上に資本金をはじめとした自己資本には株主資本コストがかかっている。
すなわち、棚に「物」が置かれているということは、その「物」には金利をはじめとした資本コストがかかっているということだ。
さらに、棚が多ければ多いほど付加価値を産まない物流作業や棚卸作業が増える。さらに、棚を置いているスペースには固定資産税も発生している。
さらに棚があることで、そこを避けて通るというような物流ロスの原因にもなる。
いくらお金が寝ているかわかるようにする
経営者として大切なことは、棚を見たら、多大のロスを発生させていることを認識することだ。
そして、そこにいくらお金が寝ているか即座にわかるようにすること。皆にお金が寝ていることを意識させ、そこには金利が発生しているという感覚を持たせることが大切だ。
そうすることでムダな物を置かなくなり、さらに在庫などの回転率を上げることの大切さも理解できることになる。
棚を減らせ
キャッシュフロー経営という視点では、在庫や売掛金などの運転資金をミニマムで運営できれば、営業キャッシュフローを最大化できる。
すなわち、キャッシュフロー最大化するには徹底して棚を無くす取り組みをすることが大切なのだ。
間違っても、安易に棚を購入してはならない。棚の代金だけではなく、そこに物を置けば、それだけお金が寝ることになるからだ。
棚を無くし、そのスペースを、付加価値を生み出すスペースに変えることができれば、利益、キャッシュを生み出す場所にできる。
「棚を減らせ」という取り組みは、ムダを無くし、キャッシュフローを最大化する取り組みと心得ていただきたい。
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