改善・改革の着眼点・・仕掛品を減らせ

仕掛品が意味するもの

仕掛品(仕掛在庫)は、材料が工場に投入されてから完成品になるまでの間、工場の中で加工途中になっている在庫のことだ。

すなわち、仕掛品の多い工場や企業は、加工途中になっている在庫が多いということであり、製造のリードタイムが長いことを意味している。

言い換えると、工場の中で停滞している在庫が多く、ムダなスペースをとっているとも言える。

工場で付加価値を産むのは加工だけで、運搬や停滞は付加価値を産まない。

それどころか、在庫には金利をはじめとした資本コストがかかっている。在庫になっているということはお金を物にしてキャッシュフローを悪化させているだけでなく、ムダなお金を流出していることになる。

さらに仕掛品が多いということは、工場の中に付加価値を産まないスペースが多いことを意味する。

さらに停滞している仕掛品が多ければ、それだけ運搬などの工場内物流ロスが増える。

本来、そのスペースを加工に使えば付加価値を生み出せるものが逆にお金を流出させているスペースにしていることになる。

製造リードタイムの算出

製造のリードタイムは、材料が投入されてから完成品になるまでの時間だが、それは、財務諸表から推定することができる。

すなわち、何日分の仕掛品があるのかがわかれば、それが製造のリードタイムということになるからだ。

仕掛品は貸借対照表の借方(左側)の流動資産の中にある。これが何日分の仕掛品かを算出すればよい。

仕掛品の評価がどのようにされているかがわかれば、それで算出できるが、わからなければ、仕掛品の評価は、製造原価の中の製造費用の中に記載されている材料費と、製造費用の中から材料費を除いた加工費の半分で評価されていると仮定すれば算出できる。

すなわち、仕掛品は加工途中の在庫なので、加工が半分まで進んでいると仮定して算出するということだ。

製造費用は決算期間でかかった費用なので、その間の稼働日数で割ることで、貸借対照表の仕掛品が何日分の在庫か推定でき、そこから製造リードタイムが推定できる。

仕掛品削減の効果

仕掛品を減らすことは、製造リードタイムを短くすることになるので、材料手配も、受注確定してから手配することが可能になることもある。それが難しい場合でも、ギリギリまで市場の情報を引き付けて手配できることになるので、材料在庫はミニマムにでき、その分キャッシュフローを増やすことになる。

さらにムダなスペースを無くし、工場内の物流ロスをミニマムにすることで、ムダな工数の削減になると共に、工場内の在庫スペースを付加価値を生み出すスペースに変えることにつなげられる。

工場の中に、加工途中のものが停滞しているところがあれば、それを徹底して無くすことだ。

仕掛品の削減効果はいかに大きいか理解して推進することが大切なのだ。

あるべきものづくりの姿

工場のあるべき姿は、工場に材料が投入されたら、停滞することなく加工され、出荷されていくことだ。

これが運転資金ミニマムのものづくりということであり、キャッシュフローを最大化するものづくりということだ。

工場内で、停滞している仕掛品を見つけたら、それを無くす取り組みを推進することが大切なのだ。

 

(関連サイト)

※在庫は仕事の質のバロメータ

※貸借対照表とは