「見える化」と「見せる化」
優れた企業は、圧倒的に「見える化」と「見せる化」が進んでいる。
ちなみに、ここで言う「見える化」は、管理すべきこと・注意すべきことが一目でわかる状態にしてあることを言い、「見せる化」は、確認すべきことを強制的に見せるようにすることを言う。
見える化
わかりやすい例で言えば、ボードに管理すべきことを貼りだすことで皆が確認できるようにすることだ。製造現場で使われている変化点管理ボードは、本日の変化点を「見える化」している例だ。
また、5Sでいう整頓は、3定(定位置・定品・定量)と表示・標識が基本だが、これは、どこに・何を・いくつ置くかを表示・標識で「見える化」することで、一目でわかる資産管理ができるようにしている例だ。
見える化ができている企業は、管理すべきことがわかっている企業であり、見える化できているほど優れた管理ができているということだ。
見せる化
「見える化」は管理の基本だが、「見える化」しても、それを見てチェックしなければ、何の効果も無い。そこで、絶対に確認すべきことは、「見せる化」する必要がある。
例えば、製造業で、作業手順やチェックすべきことを、ウェラブル端末などを活用して表示し、チェックさせることで確実な作業ができるようにするなどだ。また、決算検討資料で、管理すべきことを「見える化」し、会議でそれらを確認することも、「見せる化」と言える。
確実に管理すべきことを「見える化」し、それを「確実に確認・チェックするように「見せる化」することが大切だ。
DXによる情報共有化は「見えなく化」している?
ところで、誰もが見えるようにするためには、情報の共有化は重要だ。実際、多くの企業で、DXを推進する目的の一つに、この情報の共有化をあげている。
ところが、情報の共有化には大きな落とし穴がある。それは、情報を一元管理することで、誰もが必要な情報を見ることができるようになるのだが、その情報を意識している人は見ても、意識していない人は見ないということがおこるからだ。
ボードに貼りだせば、意識していない人も見ざるをえないが、自分で情報端末をたたかないと見えないということになると、意識しない限り誰も見なくなる。
すなわち、DX化推進で重要なことは、管理すべきことを強制的に「見せる化」する仕組みを導入することなのだ。