お金を知らずに経営はできない
経営推進で一番重要なことはお金だ。
お金が無くなり、債務の弁済ができない事態に陥ると、銀行取引停止となり事業活動の継続ができなくなる。いわゆる倒産だ。
それだけに、お金のことがわからない経営者は、経営者失格だ。
お金をいかに増やすかが基本
「経営の基本とは」で述べたように、経営は、出資者から出資金を預かり、また金融機関からお金を借りて、それを元手に事業に必要な資産にして事業を営み、その事業によってお金を生み出すことで、出資者への配当や借入金の返済をすると共に、さらなる事業拡大に向けた資金を確保していくことだ。
すなわち、いくらお金を生み出したかということに尽きるからだ。
経営者は、どうすればお金が増やせるかがわかっていなければ経営はできない。
さらに、より少ない元手で、より多くのお金を生み出すことが求められる。
それは、お金を生み出すものにお金を使うということであり、お金の使い方にも経営者の手腕が求められるということだ。
ところで、お金を増やすには、誰もがわかっていることは、利益を出すことだ。
50円で買ったものを100円の価値あるものにして売れば50円お金は増える。だからこそ、利益は重要だ。
誤った利益の出し方は経営破綻を招く…お金を減らす利益の出し方
ところが、利益を出せば必ずお金が増えるとは限らない。間違った利益の出し方はお金を減らすことになるのだ。
在庫を積み増す
例えば、販売数量以上に大量に生産して在庫を積み上げるとどうなるだろうか。
減価償却費や間接人件費等などの固定費は、生産数量には無関係で変わらないので、大量に生産すれば1個当たりの固定費は下がる。
大量に生産することで売上原価を下げることができるので利益を増やすことができる。
しかし、これでお金は増えるだろうか。
大量に生産したことで、それだけ多くの材料費や加工費がかかり、在庫が増えた分だけ確実にお金は減ることになる。
回収できなくても販売する
同様に、売掛金を回収できていないにもかかわらず、支払いの悪い顧客に売り続けると、売上高は増えるので利益は増えるが、売った品物のお金は回収できないので、お金はどんどん減ることになる。
お金の増えない利益の出し方は、さらにお金を減らす
具合が悪いのは、このような利益の出し方をするとお金が減る上に、利益が増えたことで支払うべき税金が増え、さらにお金が減ることになるということだ。
利益確保のために滞留資産を廃棄しないと…
滞留資産を廃棄すると、その分利益は減る。
利益が減るのをいやがって、使いもしない滞留資産を廃棄せず保管し続けているとどうなるだろうか?
本来であれば、廃棄すれば利益が減ることで支払う税金が少なくなり、その分お金が増えるにもかかわらず、利益だけを重視して廃棄しないと、継続して保管コストが発生すると共に、税金分のお金を損することになる。
お金のことがわからず、利益が大切だからと言ってこのような利益の出し方をしていれば、お金は減り続け、経営破綻に向けてまっしぐらということになるのだ。
在庫や売掛金にお金を使っても、お金は増えない
このような企業に多いのが、大量の在庫や大量の売掛債権を抱えていることだ。
経営者には「より少ない元手で、より多くのお金を生み出すことが求められる」と述べた。
在庫や売掛金にお金を使っても、お金は増えないばかりか、それらが増えた分だけ、お金は減ることになる。
金融機関から借入をして在庫や売掛金にお金を使っているということは、それらの資産には金利がかかっているということ。それらが増えれば増えるほど、さらにお金は減るということだ。
少ない元手という視点で、お金を生み出さない資産は徹底して減らすことが重要なのだ。
「お金をいかに増やすか」という経営の基本をわかっておらず、「利益をいかに出すか」しか考えていない経営者は経営者失格だ。
経営者は、キャッシュフロー経営に徹することが重要なのだ。
(関連サイト)