改善・改革の着眼点・・事業の選別
環境の変化と共に、いかに事業構造を変革させていくかが、企業の盛衰を決める。
実際、歴史ある上場企業でも、祖業を捨てることができず、合理化や拡販に努力したものの事業の再建ができずに多額の負債を抱えて経営危機に陥った例もある。
経営者の最大の役割は、環境変化を踏まえ、いかに先手で事業構造を変革できるかだ。
事業の選別
それでは、事業の選別はどのように行なうと良いだろうか。
ここで大切なことは、祖業だからとか、歴史ある事業だからという感情的なことにとらわれず、客観的に各事業をとらえることだ。
そのためには、基準を明確にしておく必要がある。
選別の基準・・事業価値があるか
以前、「経営戦略」について記したコラムで述べたが、選別の基準は、その事業が将来的にどれだけのキャッシュフローを生み出すことができるかだ。
言い換えると、各事業の事業価値を把握し、それで判断することだ。
ちなみに、事業価値は、その事業が将来的に生み出すフリーキャッシュフローを現在価値にして求める。
将来的にキャッシュフローが生み出せないような事業に経営資源を投下していても、新たなキャッシュ創出はできず、成長はない。
間違っても、フリーキャッシュフローがマイナスの事業を継続すれば、資金が枯渇し、経営破綻を招くことになる。
それだけに、日頃から、各事業のフリーキャッシュフローはどうなっているかを把握し、経営戦略を見直すことが大切だ。
もし、フリーキャッシュフローがマイナスを継続している事業があれば、すぐにでも、その事業の方向付けが必要だ。どう撤退するか、また売却ができるのであれば、売却先の検討をする必要がある。
日頃から各事業のキャッシュフローを管理すること
その前に、フリーキャッシュフローがマイナスになるような事態になるまで、放置していることが問題であり、そうしないためには、常に、各事業がどれだけキャッシュを生みだすことができているか、その推移も管理しておく必要がある。
さらに、その事業の将来性を見極めることだ。新たな市場開拓を含めて成長できるのであれば、しっかり利益を出せるように新たな投資をすればよいが、成長できる可能性がないのであれば、事業価値がある間に売却を検討することが大切だ。
フリーキャッシュフローがマイナスというキャッシュ垂れ流し状態になってからでは、売却先も見つからないからだ。
さらに、重点事業との相乗効果も確認して、伸ばすべき事業と整理する事業を明確にして推進する必要がある。
大企業でも、これらの意思決定が適切にできず、経営危機に陥っている事例は多い。
経営推進における最大の経営改革の着眼点は、事業の選別なのだ。