改善・改革の着眼点・・商品の選別と限界利益額の確保

利益を増やすポイント

利益を向上させるためのポイントの一つは、儲かる商品の販売を増やし、儲からない商品をやめることだ。

儲かる商品とは、「限界利益の高い商品」のことをいう。

逆に儲からない商品とは、「限界利益がマイナスの商品や、低い商品」のことだ。

限界利益がマイナスとは、売価より変動費が高いということ。

変動費は材料費や仕入れに要した費用のように、売上高の変動と共に変化する費用のことだが、変動費が売価より多いということは、仕入れた価格より安い価格で売っているということを意味するので、売れば売るほど赤字額が増えていくことになる。

すなわち、限界利益がマイナスの商品や品番は、すぐに販売をやめるか、大幅な売価アップが必要ということだ。

逆に、同じ売上高でも限界利益率の高い商品や品番であれば、利益は増えることになる。

個別の限界利益を把握する

これを判断するためには、どの商品が儲かり、どの商品が儲からないかを把握することが必要不可欠。

そのためには、「限界利益とは」のところで述べた、品番別の限界利益を把握することが大切だ。

中小企業では、原価管理の仕組みができていないとか、原価管理のシステムが無いという企業が未だに多い。

それを難しくしているのが、固定費の配賦をどのようにするかがわからないとか、その仕組みを作るのが難しいということがある。

しかし、品番別の限界利益を把握するだけであれば、品番別の材料費や仕入費用さえ把握できれば、変動費がわかるので、容易に品番別の限界利益を計算することができる。

もちろん物流費や販売促進費なども変動費と言えるが、それらは全体の中での比率は少ないので、大まかに限界利益を把握するには、商品別に材料費や仕入費用などが把握できていれば、判断には十分だ。

限界利益の無い商品・品番は即座にやめる

品番別の限界利益を一覧にして、限界利益率がマイナスの商品や品番はすぐにやめることだ。

これができるだけで利益は向上する。売れば売るほど赤字になる商品をやめるのだから当然だ。

併せて、限界利益率がほとんどない商品(例えば、限界利益率が一桁しかないような商品)もやめるべきだ。このような商品は売るための手間や経費をかけても全く儲からないと共に、ムダな手間や費用が発生するだけで利益につながらないからだ。

営業部門の責任は、売上高ではなく限界利益額

どの企業も年度の事業計画を立てている。

その中で、利益計画については、いくらの売上高を確保し、材料費や労務費をはじめとする費用はいくらにするかが計画されている。

計画の推進では、売上計画の責任は営業部門になっていることが多く、常に計画通りの売上高を確保できたかを追及される立場になっていることが多い。

しかし、それは正しい姿だろうか。

儲からない商品ばかり売って売上高計画を達成しても、計画の利益は確保できない。

極端に言うと、限界利益がマイナスの商品は、顧客の立場からするとお買い得商品なので、売ることは容易だ。

しかし、このような限界利益がマイナスの商品を売って売上高を確保しても、赤字が増えるだけで、計画の利益からは程遠くなるだけだ。

すなわち、営業部門の責任は、いかに計画の限界利益額を確保するかということに他ならない。

計画通りの売上高をいかに確保するかということしか管理していない営業部門は失格だ。

売上高をいかに確保するかではなく、計画の限界利益額をいかに確保するかが一番の管理ポイントなのだ。

商売人であれば、いかに儲けるかを考えるはずであり、営業部門は真の商売人であることが大切だ。

この推進管理をするためにも、品番別、商品別の限界利益の把握が必要不可欠であり、どれを売ると儲かるかがわかることが大切なのだ。

 

(関連サイト)

※限界利益とは

※変動損益計算書とは

※変動損益計算書の作成方法

※直接原価計算とは