債権管理

日頃の経営推進管理の中で大切なことの一つが債権管理だ。突然、資金繰り問題に陥る原因の多くが、予定通り債権回収できない場合だからだ。

売掛債権の管理

未回収の金額が大きいと経営危機に陥ることもある。入ってくるはずのお金が入らなければ、資金繰りは悪化する。巨額の不良債権を抱えれば、倒産の危機に陥りかねない。よく言われる連鎖倒産だ。

予定通り入金されない原因としては、請求書の発送遅れなど自社に責任があるケースもあるが、販売先に問題があるケースが多い。販売先の支払い手続き忘れもあるが、問題なのは、資金手当てができないために支払いをしてこないケースだ。

まず日常の経営管理として大切なことは、入金予定日に確実に入金されているかを確認すること。もし、入金されていない場合は、すぐに支払ってもらうように督促する必要がある。確認が遅れると滞留債権化すると共に不良債権化する可能性もあるからだ。

このようにしないためには、日頃から取引先の経営状況について、意識して確認することも大切だ。納品に同行すれば、客先の在庫状況や販売状況を知ることができる。多大の在庫を抱えていれば資金繰りは厳しくなる。販売状況はどうですかと聞いてみるだけでも状況は把握できる。販売先の経営が厳しくなっているか否かを把握しておけば、先手の対策も打てるからだ。

 

与信管理と与信限度額の設定

ところで、取引に当たっては、現金取引や前払いであれば問題ないが、掛売りする場合は、販売先の支払い能力に問題がないか事前に確認する必要がある。信用調査の実施や、財務諸表・決算書を入手して、取引しても問題がないかを確認する。

また、これらを踏まえて、与信限度額(売掛金の上限額)を決めて、管理することが大切だ。確実に回収できる金額を前提に商売することが基本だからだ。与信限度枠は、月々予定する取引額と共に、販売先の経営状況を踏まえた格付(信用度)をもとに決める。

基本取引契約を締結するにあたっては、これらを踏まえ、支払いサイトに問題が無いかも確認する必要がある。

お金の回収までが営業マンの仕事

営業の仕事は何ですかと質問すると、「売上計画を達成することです」「販売を拡大するために、新たな取引先を拡大することです」「お客様の販売動向を把握して、提案営業することです」といった回答をする人が多い。間違いではないが、売上高だけを見ているとこういう回答になる。

いかにお金を増やすかが商売人であり、そういう視点で言えば、利益の高い商品をいかに拡販するか、いかに限界利益額を増やすかという視点が大切だ。

さらに重要なことは、お金を早期に回収するという視点だ。利益を増やしても回収ができなければ、お金を増やすことはできないからだ。

お金の回収までが営業マンの仕事であり、早期に売掛金を回収すると共に、日頃の取引の中で、回収不能に陥る予兆がないか、常に意識して見ることも、営業マンの大切な役割なのだ。

与信限度額を無視した取引や、滞留債権があるにもかかわらず販売を続けるということがあれば、経営破綻につながる。疑義がある場合、与信限度額は絶えず見直しを行なうことも大切ということだ。

「1対1の原則」と売掛金残高証明書の取得

ところで、海外の場合は、不正に対する注意も必要だ。

注意したいのは、「1対1の原則」を守るということ。実際、取引先の中には、支払える分だけ支払ってくるということもある。そうなると、どの分までが支払われたかがわからなくなり(インボイス単位での消し込みができなくなり)、管理ができないことから気付きが遅れ、多額の未回収債権を抱えて、不良債権化につながることもある。売掛金や買掛金の消し込みは、必ず、「1対1」で行うことが大切ということだ。

また、取引先毎に売掛金残高確認(売掛金残高証明書の取得)を行ない、取引先と照合しておくことも大切だ。そうすることで、誤魔化されることはなくなる。

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